とある作品を見て(作品が特定できたらファンからしたらいい気持ちにならないと思うのでフェイク入れます)困難を抱いた家族を元の状態に戻してあげる、ということが第一の目標である主人公に、ちょっとなんとも言えない気持ちを抱いた。
元に戻す、ということを家族に求めるのは怖いことであると思う。
私の弟は生まれつきいくつか障害があったが、高校生くらいの時に脳梗塞を起こし、左半身付随になった。つまり自力で歩けなくなった。
で、それ以来週一で懸命にリハビリに通い、後ろで人がサポートするとゆっくり歩けるくらいを保てているんだけど、母としては、スタスタ歩いてた頃に戻したいわけですよ。
ていうか、いずれ絶対戻ると真剣に信じている。
障害については自分の専門だったこともあり(精神が主で身体についてはそこまで深く勉強しなかったが)こんなこと母には言えないけれど、多分もとに戻すのは無理です。
母は私にも、精神疾患を発する前に戻ってほしいと言った。
戻るっていつの話だ?と思って聞いてたら、本当の姿に戻って欲しい、小学生の頃の。と。
いやいやいや!小学生の頃に戻れるわけないでしょ!!小学生が体験しないような出来事も色々体験しておいて、戻れるわけないでしょ!!
なんかこう、今までの人生をちょっと否定されたような気がした。母に悪気はないんだけど。
とはいえ困難を抱える前に戻ってほしい、という気持ちは否定したくはないんです。その作品からは主人公が懸命に家族を思う気持ちが伝わってきて、それは気持ちの良いものでしたし。
しかし、あまりにそこに目がいきすぎるのは、危険じゃないかなぁと思ったわけです。多分多くの人が、目の前の家族を困難の前に戻してあげたいという気持ちを抱くのでしょうけども。
だけどね、当事者の時間が戻したい時間でストップしているわけじゃないから、進んでいるから、そこはどうか受け入れてほしい。