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ざっくりあらすじ

主人公「うーちゃん」(うさぎ)が弟にむけて語るスタイル。用いられている独自の文体は方言の「かか弁」。

「はっきょう」した「かか」との関係、愛憎、女として生まれた怒りとかなしみ。

うーちゃんは入院するかかに見送られ熊野詣の旅に出る。熊野の地で、うーちゃんにはかかが手術に失敗して亡くなった、そして自分がかかをにんしんしたという天啓を受けて、SNSで発信するが……

感想

とにかくすごいな、が一番の感想だった。

読み終えてかなり経つんですが、うまく感想を書ける自信がなく、タイトルだけ作って放置してました。うまくはできないかもしれないけれど、書いてみます。

まず、かか弁。プラス自分の一人称を「うーちゃん」にすることによっても、甘えのような独特な雰囲気が出ている。

しかし、語り口が柔らかくてもグサグサ刺さってくるような内容。特にSNSとの関わりが絶妙で、熊野の霊験あらたかな地でかかの死亡報告したシーンは雷に打たれるようだった。

親子の愛憎がすごく巧みに書かれているのだけど、私の心に残ったのは「女としてのかなしみ」の方。

……うーちゃんはにくいのです。ととみたいな男も、そいを受け入れてしまう女も、あかぼうもにくいんです。そいして自分がにくいんでした。自分が女であり、孕まされて産むことを決めつけられるこの得体の知れん性別であることが、いっとう、がまんならならんかった。男のことで一喜一憂したり泣き叫んだりするような女にはなりたくない、誰かのお嫁にも、かかにもなりたない。女に生まれついたこのくやしさが、かなしみが、おまいにはわからんのよ。

文藝 28ページ

このように考えるうーちゃんはかかを「にんしんしたかった」と語る。それがもう、わかるようなわからんようなとにかく悲しくくやしい。以下もすごく印象に残った箇所。

修学旅行の班分けのとき、くじで一緒になったうーちゃんたちに聞こえるように大声でハズレと言ったり、女性の教師たちをヤれるヤれないと仕分けたりしてた男子生徒たちに感じるんと一緒です。話を聞いたとたん、悪いと思う間もなく、親しんでいたはずの教師たちの顔が頭のなかできゅうに別の顔をしだしたんを覚えています。どんなに知的で自立した女の人であっても、たった一言であほらしい猥談のなかに取り込まれてしまうんがどれほどまでに悔しいことか、おまいにはわかりますか。

文藝 27.28ページ

この小説はうーちゃんがお風呂の中で金魚と思ってすくったものが経血だったというシーンから始まります。

そこからしてもう「女」という存在をつよく感じさせる力のある筆致は必読です。

個人的には男性に読んでもらって感想が聞きたいな。いや、女性にも読んで欲しいけど。「女」という存在をつよく感じさせるといえども、個人的にはこれはジェンダー小説とはちょっと違うと思う。とにかく大学生がこれを書いたというのに嫉妬(笑)

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